誇りを持てる君がいるから

君はこのエンターテイメントの世界で生きることができて幸せでしたか。



私が君を初めて認識したのは2007年9月のことだったと思う。自分と同い年のアイドルがデビューすることになった。当時、ジャニーズアイドルの中で過去最年少でのデビューだった。12歳。小学6年生。まだランドセルを背負っていた少年に、大きすぎる看板ができた。

その頃の私は高校生がかっこよく見えていたし、君のことなんてちっとも好きじゃなかった。それどころかちょっとうざいなって思ってた。カッコいいって思ったことなかった。年齢順でペアになった時、私の大好きなアイドルとペアになるのが嫌だった。なんでお前とって思ってた。結局、君がアイドルをやっている間に君を大好き!って思えるようにはならなかった。



2011年6月。好きじゃなかった君の不祥事が発覚した。無期限活動休止。好きじゃなかった。そう思ってた。

君は人気もそんなになくて、当時16歳だったから、報道も名前が出なかった。君に付けられた名前は「少年A」。Yahoo!ニュースのコメント欄に「お前のせいでグループに傷がついた」「二度と帰ってくんな」ひどい言葉も並んでた。

私も好きじゃなかったからそう言えたはずなのに、「自業自得だろう」って、どうしても言えなかった。それどころか他のメンバーに対して「なんでもっと見ててあげなかったんだ」って思った。たぶん同い年で境遇が似てたから、勝手に感情移入をした。似てたから、好きになれなかった。「10人」にこだわりすぎた私は、グループを愛せなくなった。

不思議だよね。今、君がいなくなった頃アイドルになった子を応援してる。





ずっと、待ってた。2014年にTwitterができた時は、「本人のものじゃない」って思いたかった。だってTwitterを始めるってことは辞めたってことで、それってもう二度と戻らないってことだ。帰ってこないってことだ。そんなの嫌だから信じなかった。2016年、復帰会見をした。胡散臭いおじさんと一緒に。ねぇ、私が見たかったのはこういうことじゃないよ。でも「おかえり」ってずっと言いたかったから少しだけ、嬉しかった。



高校の同級生と組んだ「ZERO」。パッとしないグループだなぁと将来を少し諦めた。はじめてのファンミーティング、チケットは余ってた。5年ぶりに君を見た。5年前より笑ってて、5年前より楽しそうだった。なんで戻ってこなかったんだってずっと苦しかったけど、すごく楽しそうだったから。彼の高校時代を知れた。楽しそうに。9人も、世間も、ファンも、決して守ってはくれなかったけど、この人たちに守られていたんだと思った。だから、やっと待つのをやめられた。









2020年1月。最愛の弟がデビューする年、君は芸能活動を引退することを選んだ。高校の同級生と弟が、同じグループでデビューをする。




今思うと、君の人生はずっと、弟に振り回されてきたように思う。デビューは早かったけどずっと弟のほうがドラマも映画も仕事があった。弟の方がずっと有名だった。コンサートも、君にはソロパートがなかったのに、君の弟はガッツリ出てたし、なんだこれって感じだった。

悔しかったと思う。けれどそれ以上に弟のことが大好きで大事なんだろうなって、ずっと思ってた。私が君の立場でもきっとそうだ。嫌いになんてなれない。ずっと可愛いもんな。私にも私より生きるのが上手い妹がいる。

だから君が逃げたくなった気持ちは、少しわかる。


きっと君は弟の可能性をほんの少し潰してしまった。「不祥事起した子の弟」って見られてしまうようになった。弟の入所のエピソードを奪ってしまったし、家族の話をしづらくさせてしまった。それは事実だ。だけどきっとそうやって君はどんどん自分を追い込んだ。

それでも君はきっと弟が大好きで、弟の門出である2020年1月22日を待たずに2020年1月13日、表舞台から姿を消す。最初から最後まで、君は最高のお兄ちゃんだと思うんだ。ファンにとって残酷な決断でも、きっと君のこの決断は大好きな弟のためだけの、大きい大きい愛だ。そんなあったかい君が、変わっていなくて、そうやって損をしても、傷ついても、苦しんでも、泣いても、世界のどこかで生きててくれたらそれでいいなって。苦しくなったときは、君を信じて、君の味方がここにいるって。そう思って生きていてくれさえすればいいなってちょっと思った。



覚えていないかもしれないけど、君は昔、グループは1人でも欠けたら転がらないボールだって言ってた。そうだ、あの日から、転がらなくなった。いや、違うな。転がってた。歪だったけど、ちゃんと転がってた。でもうまく転がらなくて道を少し逸れた。私はそれに気づかずにまっすぐ進んでしまった。そしてその道はきっとこの先交わることはない。


「あなたと合わせて10人の人がいます。もし右と左の道しかなくて9人の人達は右の道を行くって言ってます。ではあなたは右に行くか、左に行くか?

僕は迷わず左に行くと答えました。理由は、右に進むと僕以外の人達は同じ景色を見ることになり、左の景色は全く見えない。左に進むと僕だけ違う景色を見ることになり右の景色は全く見えない。でも、最終的には左右の道が同じになるかもしれない。未来のことなんて誰もわかりませんからね。だったら全員右に行くのではなく1人でも左に行けば同じ道になった時に景色が1つではなく2つになると思ったので左に迷わず行くことにしました!最終的にどうなるかわからないからこそ先のことを自分で描くから進めると思います。」



復帰した後の君のブログ。このブログを読んで、私は進めた。君のいなかった時間、私はずっと未来なんて見えなかった。でも君の居場所を失くさないために、誰か1人でも「待ってるよ」って言ってあげるために、何年も君へのブログを書き続けた。「無期限」っていつまでだろう。その答えが明かされることはなかったし、「無期限」は永遠になってしまった。このブログを見て、やっと手を離してあげられた。君からも、君を待ち続ける私からも。



意思が弱々な君のことだから、もしかしたらいつかまたふらっと戻ってくるかもしれない。覚悟がないなら復帰しないでほしかったって言いたい気持ちもなくはない。君のせいで沢山泣いたし、君のせいでものすごくツラかったし、君のせいで9人を嫌いになりそうにもなった。それでも私は今、君の引退が寂しくて仕方ない。

嫌いだったはずだった。なのに、どうしてだろう。君の引退を知った時、久しぶりに君のために泣いた。何年か前まではよく泣いてたけど、君を想ってまだ涙が出るんだって驚いた。あぁ、私、たぶん君のこと嫌いじゃなかったのかもな。いつもそう。失ってから気づく。



人のためにこんなに悔しくて泣いたのも君が初めてだった。後悔した。たっくさん。もう君を思い出してブログを書く人なんて数人しかいないんじゃない?って思ったりもする。私は君のことをブログに書きすぎてコメントでめっちゃ悪口言われてたよ(笑)

それでもまたこうやって君に向けたブログを書いてしまってるのは、きっと私はまだあの日から進めていないからだと思う。10人が大好きだったよ。最強のグループだと思ってる。あの3年半が最強だったと思ってる。今のところね。きっとこれから君の後輩のなにわ男子っていうグループが、私の最強を超えてくれると思うんだ。今はそれが楽しみ。




今でも、もしあの時君がいなくならなかったらどうだっただろうって思う。テキトーに誤魔化して、あんな写真は合成ですって言って、そうやって10人を守れたら今どうなってただろうって。あの時、全然仲良くなかったと思うし、むしろ仲悪かったと思うけど、それでも君を守ろうとする9人は確かにいた。君のことはみんな大好きだったと思う。生意気だけど、なんだかんだ可愛かったんだろうな。けど、君がいなくなって、9人は一致団結しなきゃいけなくなって、たぶんあの時仲良くなり始めたと思うから、マジで君はすごい人だよ。9人をずっと繋げてるんだ。

今もこれからも最年少は君だ。間違いない。



私の青春時代は10人と共にありました。10代のほとんどの時間、10人のことが大好きだった。楽しかった。ずっと。君を待ってる時間も、帰ってくるって信じてる時間も、ツラかったけど、楽しみだったから。復帰するのが。叶わなかったけど。9人が君の進退を明言しないことが、嫌だった。なかったことにしようとするのが嫌だった。けど9人が君のことを触れないままなのは君をなかったことにしたいわけじゃなくて、君が辞めたって9人が認めたくないからなんじゃないかなって、今になってそんなことを思う。

“Don't say goodbay 別れは言わないこれからもこの先も ”

“たとえ別々の道を歩んでたとしても僕らは繋がっていて”

“忘れないから忘れないでね 共に描いたストーリー”

9人で作詞した曲を良い風に私が思い込んでいるだけだけど。





「君の選んだ道が正解だ」なんて、君に対しては言う気は全くない。いつも間違いだらけだ。そのたびに私はずっと苦しいんだからな。一生後悔してほしいし、私も一生後悔する。君に伝えたかったことが沢山あるのに、一度も直接伝えられなかったこと。アイドルの君をもっと沢山見てればよかったって、きっと一生後悔する。きっと私たち出来損ないだけどさ。君の選ぶ道が間違いだったとしても、めちゃくちゃ楽しんでね。間違ってばかりだったけど。バカヤロウって思うけど。そればっかり思うけど。なんでもっとうまくやれないんだって思うけど。私は君のこと一生忘れられないんだろうなぁと思うよ。


これから君は何をするのかな。優しい君だから、変な人に騙されて変な道に進まないかだけがとても心配です。すぐ人を信用しすぎちゃダメだよ。でも心から信頼できる人を作るんだよ。そして、絶対幸せになってください。君がいて、救われた。12年間ありがとう。闘ってくれてありがとう。

同い年の君が、私より大きなことを成し遂げるから、いつだって君より頑張るんだって思って頑張れてました。何もできなくてごめん。






伝わるかな。このブログにのせて。届け。

















慎ちゃん、デビューおめでとう。

お兄ちゃん、めちゃくちゃかっこいいね。慎太郎の未来を応援してるよ。

スーパーエース森本慎太郎。頑張れ。